蝋色(ろいろ)工程とは…漆を塗った表面にはどうしても刷毛目等の凹凸が少し残ってしまいます。その凹凸を 研磨して無くし、更にツヤを出す工程を言います。 蝋色はまたの名を鏡面仕上げとも呼びます。ですがそのツヤを出すには様々な工程が必要となり 名前の通り磨きあがると蝋を塗ったような漆黒独特のツヤが出ます。
1. まずは蝋色仕上げをするには前もって専用の蝋色漆というものを漆塗職人さんに使用してもらいます。
その蝋色漆の上塗りの表面を研いでいくのところからスタートするのですが、その研ぎには写真にも
ある駿河炭という炭の木目の部分で研いでいきます。
炭は弾力がなく適度に水分を吸収するため、鋭く平滑に表面を研ぐことが出来ます。
2. その駿河炭を使ってまずは表面を均等に研いでいきます。
耐水ペーパーなどを代用されることもあるのですが今は炭に勝るもの
はなく、こだわって駿河炭を使用しております。これは漆を塗る際、漆塗職人さんも使用しており、中塗り
を駿河炭で平坦に研いであることにより、上塗り部分を更に鋭く、平滑にすることが出来ます。
3. すると写真のように凹凸だった部分が色の違いでわかります。
4. 駿河炭の研ぎ痕を今度は蝋色炭という更に細かい炭で砥いでいきます。
写真はその蝋色炭です。
5. その蝋色炭でまた同じように研いでいくと先ほどのような色の違いが無くなり更に平坦になります。
6. 蝋色炭の研ぎ痕を今度は専用研磨剤で摺っていき、更に表面の肌理を細かくします。
7. 研磨剤でより細かく整えた塗面に今度は生漆を摺りこんでいきます。
生漆とは漆に何の加工もしていない
異物を取り除いただけの漆液のことを言い、蝋色作業の場合上摺り漆とも呼びます。
8. それを研磨した箇所に丁寧に擦りこみ、漆室に入れて湿度で乾かします。
9. 生漆をが乾くと今度はその表面を油と研磨剤を使って、
今度は何も使わず手のひらや指先で磨いていきます。
10. 布や綿で磨くよりも手のひらや指先の方が肌理が細かいので漆の表面が綺麗に仕上がるのです。
11. 以前はこの研磨剤も角粉という鹿の角を加工して造った研磨剤があったのですが、
今は手に入らなくなってしまったため、代用品として京都の研磨砥石メーカーと漆精製メーカーが共同開発している蝋色磨粉という研磨剤を使用しております。
12. この工程を3回から4回繰り返し、鏡面のような輝きが出たら蝋色工程完成と至ります。
写真は吹蓮華巻足三重座位牌
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